金属工作機械業界の動向およびM&Aについて【2023年版】

金属工作機械業界の市場動向

2021年の金属工作機械の販売金額は、前年比21.2%増の9,234億円であり、大幅に減少した2020年から一転して、大幅増となった(経済産業省の生産動態統計年報)。

出所:経済産業省、業界動向サーチ

金属工作機械の販売金額の過去の推移を見ると、2016年から2018年までは増加傾向にあり、2018年から2020年までは、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により減少傾向となり、2021年には再び増加した。
工作機械は、自動車はじめとする電機・精密機械、航空機、IT製品、産業機械、医療用器具など、様々な産業分野で利用されるため、景気の影響を大きく受ける業界である。
また、工作機械の受注は製造業の設備投資の動向に比例することから、景気の先行指標としても用いられることがある。

金属工作機械業界の保有台数・売上高ランキング(2021‐2022年)

売上高ランキング (億円)
順位 会社名 売上高
1 マキタ(6586) 7,392
2 ファナック(6954) 7,330
3 安川電機(6506) 4,790
4 DMG森精機(6141) 3,960
5 THK(6481) 3,181
6 アマダ(6113) 3,126
7

 

ディスコ(6146) 2,537
8 不二越(6474) 2,291
9 牧野フライス製作所(6135) 1,865
10 コマツ(6301) 1,856

 出所:各種資料より作成

(注)コマツは産業機械他事業の売上高である。

金属工作機械業界のM&A

金属工作機械業界のM&A(一部)

年度 買い手 対象企業・事業
2020 ジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544) コスモジャパン(青森県:エレベーター等メンテナンス事業)を完全子会社化
2020 佐々木化学薬品株式会社 バイオエックス(信号累積型バイオセンサー及び測定装置・関連試薬の開発・製造・販売)を完全子会社化
2020 ベルテクス・パートナーズ Spiral(ドローンの飛行制御技術開発)と資本業務提携
202o ブイ・テクノロジー(7717) リソテックジャパン(微細加工プロセス用評価・製造装置の開発、製造、販売等)を完全子会社化
2021 エムスリー(2413) エムスリー(眼科特化の専門商社)を完全子会社化
2021 アルフレッサ

アルフレッサ ホールディングス(2784)の子会社

ドーナッツロボティクス(ロボット開発メーカー)と資本業務提携

2021

凸版印刷(7911) 株式会社アイオイ・システム(デジタルピッキングシステムの最大手)を子会社化

出所:各社開示資料

金属工作機械業界の今後について

景気の動向に影響されやすい業界

金属工作機械業界の特徴として、景気の動向に影響されやすいことがある。そのため景気の影響を受けやすい点をできる限り緩和するため、海外市場を視野に入れた経営戦略が必要不可欠である
世界市場の需要を獲得するためには、新興国への市場開拓が必要不可欠である。併せて、様々なニーズに合う製品を開発する必要がある。

自動化・効率化

将来、人口減少が本格化するに伴って、自動生産システムやロボット製造ラインなどが普及していくと予測される。したがって、同業界は長期的に自動化・効率化のニーズに基づいて成長するもと思われる。

データの活用
金属工作機械の運用から得られるデータも注目されている。データの活用により、機械停止時間の短縮、メンテナンスコストの低減など、さまざまな効果が期待できる。
現状、中小メーカーはデータの活用が十分ではなく、新たな価値を提供・提案する取り組みは今後の課題である。

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