旅行業界の動向およびM&Aについて【2023年版】

 旅行業界の市場動向

 2021年の訪日外国人旅行客数は、前年比40.4%減の245万人であり、前年に比べ386万人減少し、2年連続で減少した(日本政府観光局)。

出所:日本政府観光局、業界動向サーチ
訪日外国人旅行者数は、コロナ前の2019年までは増加傾向にあったが、新型コロナウィルスの感染拡大が始まった2020年、2021年に大幅に減少した。2021年の訪日外国人数は、コロナ前の2019年と比較すると92%減となっている。
2020年の新型コロナウィルスの感染拡大を原因とする各国の渡航制限によって、訪日外国人客数は大幅に減少した。その結果、訪日外国人旅行者や日本人の海外旅行者数も大幅に減少し、旅行業界は大きな影響を受けた。
2021年も各国の渡航制限は続き、訪日外国人旅行者数は2年連続減少となった。これにより、コロナ禍前のインバウンド需要はなくなった。


旅行業界の保有台数・売上高ランキング(20212022年)

売上高ランキング (億円)
順位 会社名 売上高
1 JTB 5,823
2 KNT-CTホールディングス 1,399
3 エイチ・アイ・エス 1,185
4 日本旅行 1,080
5 東武鉄道 749
6 阪急阪神ホールディングス 601
7

 

日本航空 458
8 ANAホールディングス 321
9 JR東海ツアーズ 297
10 名古屋鉄道 258

                                                                                                                 出所:各種資料より作成

 (注)東武鉄道は旅行業、阪急阪神HDは旅行事業、日本航空はジャルパック、ANA HDは旅行事業、名古屋鉄道は旅行業、HANATOUR JAPANは旅行事業の売上高です。※2JR東海ツアーズは2020年の売上高である。

 

旅行業界のM&A

 最近の介護サービス業界のM&A(一部)

年度 買い手 対象企業・事業
2020 第一交通産業(9035) 株式会社西日本日中旅行社(福岡県:旅行業)を子会社化
2020 エアトリ(6191) FAST JAPAN株式会社の訪日観光客向けアプリ業を譲り受け
2021 アソビュー株式会社 あかつき(3932)から株式会社そとあそび(アウトドアレジャー専門予約サイトの運営)の全株式を取得
2021 株式会社MILE SHARE 株式会社PINK(東京都:旅行業)を完全子会社化
2021 近鉄グループホールディングス(9041)、合同会社あかり、合同会社まつかぜ KNT-CTホールディングスが、近鉄グループホールディングス、あかり、まつかぜなどを引受先とする第三者割当増資を実施
2021 個人(風の旅行社会の経営者) IBJ(6071)は完全子会社、かもめ(海外旅行事業)を個人(旅行社を経営)へ譲渡
2022 星野リゾート(3287) 株式会社Kabuk Style(サブスクリプションサービス)と資本業務提携
                                                                          出所:各種開示資料より作成

 

旅行業界の今後について

アフターコロナ

コロナ禍は旅行業界に大きな影響を及ぼしたが、アフターコロナを見据えた動きも出ている。コロナ禍が始まって以来、続けられていた入国制限も緩和され、今後、インバウンド観光の活性化が期待される。このような動きの中で、各地で富裕層向けのホテル建設が進むなど旅行業界にとって好材料が増えつつある。

インターネット専業旅行会社の台頭

店舗維持費や人件費がかからずに旅行プランの販売を行えるインターネット専業旅行会社(OTA)が格安旅行の需要を受けて急成長している。
インターネット専業旅行会社はホテルや旅館にサイト上の場所を貸して、独自にプランや価格を設定した宿泊商品を販売することで、その特色を出している。

デジタル化の流れ

人工知能(AI)による旅行の提案、仮想現実(VR)を使った旅行商品の販売などが考えられる。また、スマートフォンの位置情報提供サービスから、観光客が興味を持った施設などのビッグデータを活用・分析し、新たな観光ルートや観光資源の発掘などに役立てることも想定される。

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