スーパー業界の動向およびM&Aについて【2023年版】

スーパー業界の市場動向

スーパーマーケット業界の総売上高は近年堅調に推移している。

2020年のスーパー業界は、新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり消費」の恩恵を享受した。従来、百貨店やショッピング        センターで買い物をする消費者がスーパーを利用したことが要因である。また、テレワークの普及や外出自粛によって自宅で食事を          とる機会が増えており、食品販売が好調に推移した。2021年にはその反動でわずかに前年割れとなった。

出所:2022年スーパーマーケット白書(全国スーパーマーケット協会)より

スーパーマーケット大手6社の2020年から2021年の既存店売上高の推移は、下記のグラフのとおりである。なお、数字は対前年比の月次売上高の割合となっている。

出所:各社公表資料、業界動向サーチ

2020年は前年比100%付近での推移し、若干前年を上回っている。2021年4月は前年の反動増が見られるものの、全体的には横ばいで推移している。近年のスーパー業界は、新規出店による店舗数の増加、共働きや高齢化世帯の増加に伴う「総菜ニーズの高まり」を背景として、惣菜部門のテコ入れを強化している。2020年の特需を除き、業界全体としては伸び悩み傾向にある。各社は新たな販路拡大でネットスーパーに注力しているところに、新型コロナウイルスの感染が拡大、業界では感染予防の一つとしてネット販売を強化しています。

 

スーパー業界の売上高ランキング

2021‐2022年のスーパー業界の売上高ランキング(1位~10位)は、以下の通りである。

売上高ランキング            (億円)
順位 会社名 売上高
1位 イオン(8267) 56,967
2位 セブン&アイ・ホールディングス(3382) 18,045
3位 ライフコーポレーション(8194) 7,683
4位 バローホールディングス(9956) 7,325
5位 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222) 7,011
6位 イズミ(8273) 6,768
7位 アークス(9948) 5,775
8位 ヤオコー(8279) 5,140
9位 株式会社ヨークベニマル 4,694
10位 イオン九州(2563) 4,609

出所:各種資料より作成

現在のスーパー業界はイオンとセブン&アイ・ホールディングスの2強体制である。

イオングループはイオン、マックスバリュ、マルナカなどを傘下に。さらに2013年にはTOB(公開買い付け)によりダイエーを子会社化した。さらに、2015年に、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東が共同持ち株会社ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスを設立した。また、2018年に四国と中国地方を地盤とするフジと資本提携を行った。一方、セブン&アイ・ホールディングスは、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマートなどを傘下に治めている。

業界2強の動向に対して、その他の企業も業界再編の動きを加速している。2018年、アークスとバローホールディングス、リテールパートナーズの3社が資本提携を締結し、2019年に日本スーパーマーケット同盟を発足した。この同盟は、今後のスーパー業界再編の軸となり、イオンとセブン&アイ・ホールディングスに次ぐ、第3勢力となる可能性がある。

スーパー業界のM&A

最近のスーパー業界のM&A(一部)

発表月 買い手 対象企業・事業
2019 JMホールディングス(3539) タジマ(埼玉県スーパーマーケット11店舗を展開)を完全子会社化
2019 アルビス(7475) オレンジマート(富山県:4店舗を運営)を子会社化
2019 バローホールディングス(9956) 三幸(富山県:8店舗を運営)を完全子会社化
2020 エコス(7520) 与野フードセンター(埼玉県:スーパーマーケット15店舗を展開)を完全子会社化
2020 フジ(8278) ニチエー(広島県:スーパーマーケット11店舗を展開)を会社分割により買収
2020 株式会社コノミヤ スーパーおくやま(奈良県:スーパーマーケット5店舗を展開)を完全子会社化
2021 アークス(9948) オータニ(栃木県:31店舗を運営)
2021 ヤオコー(8279) せんどう(千葉県)と資本業務提携
2021 関西スーパーマーケット(9919) H2Oリテイリング・イズミヤ・阪急オアシスと経営統合
2022 フジ(8278) イオン・マックスバリュ西日本との経営統合

出所:各種開示資料より作成

スーパー業界の今後について

PB商品の更なる展開

最近の傾向として、スーパー各社が力を入れているのは、PB(プライベートブランド)商品の展開である。イオンではPB商品「トップバリュ」、セブン&アイは「セブンプレミアム」、ユニー、イズミヤ、フジの3社は共同で「スタイルワン」を展開している。

PB商品は卸売業者を通さず販売するため、通常のナショナル商品に比べて5~10%ほど高い粗利益率を確保することができる。また、原材料、製造方法、デザインも指定できるため、商品にオリジナリティを持たせることにより企業ブランドの向上を図ることもできる。

デジタル投資の拡充

地域密着型によって顧客を取り込んできた食品スーパーであるが、業界を取り巻く競争環境は、今後、さらに厳しくなると予想される。

コンビニエンスストア、ドラッグストアの他、ネット通販大手も、強力なライバルとなる。また、価格競争に強みを持つディスカウントストアも攻勢を強めており、業態や業態の垣根を越えて競争が激化すると思われる。

今後、特にデジタル投資に重点が置かれ、ネットスーパーは自前で体制を整えるだけでなく、食品スーパーとEC通販大手の協業の動きも広がると思われる。

 

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