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バブル崩壊で経営不振に。創業40年の事業承継を支援することに
売り手の企業は屋外広告業を営んでおり、私とは独立・開業当時からお付き合いいただいていました。
創業から約20年が経った頃、社長が若くして亡くなってしまい、ご子息が事業を承継したタイミングで顧問税理士となりました。
経営には先代社長の奥様、つまり現社長のお母様も関与されており、新社長のもと奮闘されていらっしゃいましたが、バブル崩壊の煽りをもろに受けて業績は急落、新規事業もなかなか軌道にのりません。
ちらつくのは廃業の二文字。
しかし、先代から引き継いだ会社をそう簡単に諦めることもできない。
当然、社長は悩んだと思います。
「どうすべきだろうか」という相談を受け、廃業するのではなく承継してくれる先を探してみようと経営承継支援と一緒にM&Aの検討を始めました。

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「まずは相談してみよう」から活路が開けることも
正直、最初は私も買い手が見つかるか半信半疑でした。
しかし、売り手の社長に後悔のない選択をしていただくには、ありとあらゆる選択肢を検討することが重要であると考えました。
そこで本件を経営承継支援の担当者に相談をしたところ、「知り合いの社長が興味を持つかもしれない」という話をいただきました。
その会社は印刷・広告に関連する事業を展開しており、今後、屋外や電車などの交通広告の事業を拡大したいと考えていた折でした。
早速その買い手に相談に伺い、最終的に事業承継を成功させることができたのです。
実は、お母様は会社を引き継いでくれる先はないだろうと考えており、連帯保証人になっていた借入金を個人財産で弁済する覚悟をしておられました。
しかし、駄目元で「相談してみようか」と声をかけた経営承継支援を通じて、「ぜひ売り手企業を譲り受けたい」という会社が見つかったのです。
M&Aが成立し、債務も引き継いでもらうこととなりました。
お母様は個人での弁済の必要がなくなり、とても安堵していらっしゃいました。
本事例は、事業承継のご相談をきっかけに、多くの方が幸せになれた好例と言えます。
自分の会社(=自社の関与先企業)はM&Aの対象にならないと最初から決めつけるのではなく、まずは相談してみる。
それが活路を開くことに繋がると言えるでしょう。
